なるほど 豆知識

H25.10月号  「歯周病と糖尿病の深い関係」         記事提供: 安元重実(やすもと歯科医院)

歯周病は、糖尿病の6番目の合併症と言われていることをご存知でしょうか?
現在、日本の成人の10人に1人が糖尿病で、軽度の状態まで含めると日本人の10人に7人が歯周病にかかっていると言われています。
 糖尿病は、膵臓で作られるインスリンと言うホルモンが足りなくなったり、糖が骨格筋の細胞に取り込まれにくくなり高血糖になることで、細胞のミトコンドリアでエネルギーを作れなくなったり、余った糖が蛋白質と結合して酵素などの働きを悪くする病気です。


歯周病は、歯周病原細菌の感染による歯周組織の慢性感染症で、歯茎が腫れたり歯を支えている歯槽骨が溶けてしまい、ついには歯を失ってしまう病気です。

 このように異なる病気ですが、進行した歯周病患者さんでは、血糖値が悪化することが報告されています。また、血糖コントロールが不良な糖尿病患者さんの歯周病罹患率は、非糖尿病の方に比べ約3倍高くなると言われています。
 一方で、血糖コントロール良好な歯周病患者さんには、歯周病のリスクの上昇は少ないと考えられています。血糖値が高い状態が続くと、白血球などの免疫力が低下し感染しやすくなったり、糖分を好む歯周病菌が増えやすくなるためです。また、歯周病菌の毒素が肝臓に届いて、炎症に関わる悪玉の物質作るようになります。悪玉物質の中でも、特にTNF-αは、インスリンの働きを鈍らせてしまい糖が細胞に取り込まれなくなり、血糖値が下がりにくくなってしまいます。

 このように歯周病と糖尿病には、深い関係があるのです。

それでは、歯周病の治療をすることで糖尿病が改善するのでしょうか?
 日本人を対象にした研究で、2型糖尿病の方で歯周病の治療をしたところ、血液中の炎症に関わる物質が減少してインスリン抵抗性が改善し、HbA1c が改善したという報告があります。
 反対に血糖値のコントロールがうまくいくと歯周病も改善することが報告されています。
 つまり、両方の管理が必要と言うことになります。
歯周病は、単に口の病気ではなく、糖尿病や動脈硬化、心筋梗塞などの生活習慣病に関わっています。
 お口の健康から健康長寿につなげていただければと思います。




次回11月号の記事提供は、田辺小型モータース(有) 小野 浩二さんの予定です。乞うご期待!

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